
2025年5月27日
小林由利子先生『乳幼児のための演劇鑑賞の意義』を開催しました。
「つくば世界こどもシアター」は、未就学の小さな子供たちの芸術への参加機会について、市内の保育に携わる方々や、アーティストと繋がりながら、一緒に考えていけたらと思っています。
そのためのプロジェクトとして、小さな子供たちにとって最も大切(かつ日常)である「遊び」において、演劇などの舞台鑑賞がどのように関係し、意味を持つのかについて考える研修会を、つくば市役所にて実施しました。
講師にお迎えしたのは、明治大学院大学教授の小林由利子先生。
世界の乳幼児演劇に精通された小林先生は、アシテジ(国際・児童青少年演劇協会)の副会長・世界理事なども歴任され、海外の乳幼児演劇の動向について積極的に国内へ紹介してこられました。そうした知見から、ドラマ教育を用いた保育者育成についても長年取り組まれ、数多くの保育園や幼稚園などで保育ワークショップを実施。幼児教育に実践的に関わり続けています。
今回の講演は、イタリアや北欧での乳幼児演劇の状況について中心的にお話いただきました。つくば世界こどもシアターでも連携している劇団ラ・バラッカ(ボローニャ/イタリア)も紹介されました。
印象的だったのは、それらの先進地域において、乳幼児の舞台芸術参加機会というのは、『こどもの権利条約』に則った、基本的な権利と現在は考えられているという点。
であるからこそ、国や自治体としっかり連携をしつつ、プロフェッショナルなアーティストたちが、保育士や教育者と一緒に、質の高 いアート作品を0歳からの小さな子供たちのために作ることが出来る。
欧州のベビードラマを牽引してきた演出家スーザン・オースチン(スウェーデン)は、生後6ヶ月から子供たちは完璧な芸術鑑賞者であることを、医師や研究者と連携しながら立証した事例も紹介されました。(こうしたアーティストや教育者、研究者たちの実践が積み重なり、小さな子供たちの芸術参加は権利である、という今日の認識が育まれてきたとも言えます。)
日本ではしばしば、「0歳からの小さな子供たちが、芸術の鑑賞なんてできるの?」という声が聞かれます。その問いに対して、「子供たちは、子供たちの方法で、理解している」という言葉が印象的でした。大人の”理解”という概念を、子供たちに用いることのある種の乱暴さに改めて気がつかされました。
今回は講義形式でのレクチャーでしたが、9月8日(月)にはドラマ教育を研究されてきた小林先生による、実践的なワークショップをつくば市協力のもと、市役所にて開催いたします。
この貴重な機会にぜひ、ご参加ください!詳細は追ってお知らせ致します。
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